民主社会主義

社会主義の歴史には紆余曲析がありますが、現代においては世界の非共産主義的社会主義者は、自らの思想を民主主義的社会主義、日本語では略して民主社会主義と呼んでいます。この語は19世紀末すでにベルンシュタインが修正主義を提唱したときに、その著書の中で使っており、1930年代のイギリス社会主義の文献でもときおり使われていますが、一般化したのは1951年社会主義インターがその発言の中で自己の思想を社会社会主義と称してからでした。その中にはフェビアン主義からきた流れと、ベルンシュタインの修正主義がらきた流れとがあり、またその説明の方法も基礎の哲学の如何によりそれぞれ異なりますが、その特色を従来のマルクス的社会主義との差異に重点をおいて説明すると次の通りです。
歴史の法則に従って資本主義崩壊後に欠点のない完全な社会が現世に必然的に到来すると主張するのでなく、むしろ人間の能力の最高度の発展に障害となる社会的条件を徐々に除去していく人間の努力に基礎をおくヒューマニズム的な考え方に立つ。その世界観的基礎付けが、キリスト教、仏教ないし無神論者または実存主義、人格主義であれ、それを問わない。宗教は政治に介入しない限りそれを尊重する。言論、結社、集会の自由を最大限に確保すると共に、そのような自由の上に立つ議会制民主主義の確立を図り、議会内で多数を制することにより改良政策を行う。暴力革命による政権奪取に反対するのみでなく、政権獲得後も反対党と政権交替を予期し、その批判を歓迎する。一切の生産手段の私有の廃正や割当制による指令経済に反対するとともに、私有財産絶対不可侵の自由経済にも反対する。産業の所有形熊では固有、公共固体所有、私有の各種形態の共存を認めるとともに、経済の統制を重視し、行政的方法ないし財政金融的方法により続制しつつも、その内部では、可能な限り、公正な競争を認めていくという混合経済体制を主張する。社会保障制度を充実して、生活の不安定より生ずる不幸の条件を除去するとともに、財政的方法により富及び所得の不平等をできる限り軽減する。平和維持の方法としては世界国家の建設に努力しつつも、それが達成されるまでは、国際連合及びその他の地域集団安全保障体制を強化し、自国の防衛のための必要最小根の防衛力を維持する。
このような考えは、両大戦中、ソ連共産主義とナチス国家主義との圧政を経験することにより議会制民主主義の価値を再評価し、社会主義の理想は政治的民主主義なくしては実現不可能であるとともに、政治的民主主義は社会生活の民主主義により補充されることを自覚したからでした。

社会主義とお金

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